■シェーバーこと始め
あなたが毎朝使っているシェーバー(電気カミソリ)はいつ、だれ、が作ったのか知っていますか?

■世界最初の網刃シェーバー     


1890年代に創業者が動物用のバリカンを開発してChicago Flexible Shaft Company(シカゴ・フレキシブルシャフト・カンパニー)という会社を興し、1910年に初めての家電製品アイロンを発売、それにサンビームSUNBEAMのブランドをつけて売り出した。1936年にシェーバーを発売するまでに、アイロンに続いてミキサー、トースター、コーヒーメーカーなど家電製品を発売、家電ブランドとしての地位を確立している。


1936年に発売したシェーバーのモデル-Rは、サンビーム社伝統の「シェーブマスター(SHAVEMASTER)」というサブネームのもと、砲弾型のボディーの先端に半円のアーチを描いた網刃状の外刃は「丸」と「T字」の刃穴を持ち、内刃はこの外刃の「弧」に沿って往復する方式。
これが『世界最初の網刃のシェーバー』である。
現在の網刃のように内刃が網刃の弧面の軸方向に往復する方式を考え出したのがドイツのブラウン社で1950年まで待たなければならない。(ブラウン社の詳細は別項)


サンビーム・シェーブマスター・モデル-Rを詳細にみると、その外刃の刃穴縁は表面が浅くくぼみ肌の密着度をあげ、内刃には軽くすくい角をもったエッジが形成されており。 網刃の重要な要素がすでに最初の網刃から採用されていた。 現代の網刃との一番の違いは網刃がフレームを持っていたことで、両端を除いて間に4本のフレームが6ミリ間隔で網刃をささえていた、実際にはかなり硬い肌当たりのヘッドであったと思われる。 また、直巻き(交直両用)ブラシ・モーターを採用して、今では当たり前の「スイッチを入れれば回りだす」セルフスターターで他のシェーバーのように「弾みホイールのスターター」を不要にした。 電源は先達のシックやレクトロシェーバーと同じAC交流・DC直流両用で、15ドルの値札がついていた。

網刃が市場の90%以上占める日本では想像するのも難しいが、1930年代、40年代は電気カミソリを作り出したSCHICK社の開発した『ミゾ刃』が主流で、 レミントン、レクトロシェーバーなど すべてこのミゾ刃コンセプトの外刃で、サンビーム社の『網刃』は少数派であった。


余談! 世界最初の電源

交流電源が家庭用電源の標準になっている現代からは不思議な、家庭用直流電源があったという話し。最初の電気シェーバーの「シック・モデル-S」も、この「サンビーム・モデル-R」も電源にAC・DC(交流・直流)両用方式を採用しており、シェーバーが現れた1930年代アメリカの家庭用電源には直流電源も交流電源もあったことがわかる。 アメリカの電力事業の最初はエジソンの提唱した直流送電(DC)が唯一であり、当然それが標準になった。エジソンは直流送電にこだわってテスラ+ウエスティングハウスの交流送電と長年競合。その後交流送電が世界の標準になっても、エジソンが最初に電力を送電し始めたマンハッタンなどかなりの直流電源利用者が残り、つい最近の2005年に完全に直流の送電をやめるときでさえ1500以上の直流電源の利用者がマンハッタンにいて、限られた用途(古いエレベータとか消火ポンプ)に特化して利用していた。